倫理

“信仰を持つ信者の中で最も完全なのは、最高のモラルを持つ者である。”
(預言者ムハンマド)
道徳とは、人間が他の人間やアッラー、他の生物や環境との関係を築くための基盤となるものである。タウヒードの信仰であるイスラームの特徴の一つは、道徳的な原則に価値を置くことである。イスラームの主な目的は、善良な倫理観を持つ誠実な人々で構成される健全な社会と、平和な世界を築くことである。預言者ムハンマドは、預言者になる前から道徳的に優れていたため、マッカではムハンマド・アル・アミーン(信頼できる者)と呼ばれており、この点について「私は最高の道徳を完成させるために遣わされたのだ」と述べている。預言者となった最初の日から、信仰の原則とともに道徳の原則を人々に知らせており、イスラームにおける信仰と道徳の強い結びつきを示している。
イスラームでは、人生のあらゆる分野、あらゆる瞬間において、善良なモラルを持って生きることが求められる。なぜなら、アッラーに近づき、アッラーの同意を得るための道は、人とうまく付き合い、道徳的に妥協しないことを通るからである。預言者ムハンマドの多くのハディースにあるように、アッラーは、人に慈悲を与える者には慈悲を与える。人を許し、秘密を暴露しない者には許しや保護を与えられ、人に食べ物を提供する者にはより多くの祝福を与えられる。困っている人を助ける者を、アッラーは助けて下さるのである。しかしアッラーは、人を邪険にしたり、他人の権利を侵害したり、自分の過ちを露呈したり、客や旅行者や親戚に対して卑怯な振る舞いをする者を罰される。従って、イスラームにおける善良な倫理観は、個人の関係や、アッラーとそのしもべとの関係に関するものであり、またそれを形成するものである。
ムスリムの特徴として、正義、慈悲、創造主に対する愛と尊敬、謙虚さ、寛大さ、信頼性、誠実さ、勤勉さ、もてなしの心、連帯感、協力性などの美徳を挙げられる。イスラームでは、人々をこの世と来世の両方で幸せにするものは、信念、善良な道徳、そして誠実な崇拝であるとしている。

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