天使への信仰
凡そアッラーを信じることなく,天使たちと諸啓典とかれの使徒たち,そして終末の日を信じない者は,確かに遠く迷い去った者である。
(聖クルアーン)
人類は、長い歴史を通して、強大な力をもつ不可視の存在への信仰を持ってきた。多くの場合、善と悪との拮抗は、これらの不可視の存在についての神話や、人間との関係性をもって説明されてきた。しかしながら、これらの伝承がどれだけ正しいと言えるのだろうか。イスラームは、可視・不可視界問わず、全ての世界の主であるアッラーが下した教えであり、それ故この善悪についての真実を伝えている。光から創られた存在である天使を信じることは、イスラームにおける信仰の基本要素である。
イスラームでの天使は、神によって特別な使命が各々与えられ、いかなる疑問もなしにその使命に従う、善を象徴する存在である。天使は、男女の別や食事の必要性といったような、生物が備える特徴を持たない。クルアーンによれば翼を持っていると伝えられているが、(西洋美術のイメージにしばしばあるような)女性や鳥に似た姿を想像することは正しくないであろう。クルアーンは、天使を女性として捉えることを批判しながら、ただの「慈悲なる御方のしもべ」として天使を形容している。
序列と各々に課せられた使命によって、天使たちは様々なグループに分かれている。アッラーの啓示を預言者たちに伝えるジブリ―ル、恵みと恩寵の天使として自然を管理するミーカーイール、死の天使アズライール、ラッパを吹いて最後の審判の到来を知らせるイスラーフィール、他にも神の玉座を支える天使、人のために祈り続ける天使、人の善行と悪行を記録する天使、人の死後に墓で生前の行いを問う天使、天国と火獄を管理する天使などがいる。
天使は、他の被造物と同じように、アッラーによって創造された。天使は決して神に反抗することなく、神の命令を粛々と実行する。彼らはアッラーによって与えられた以上の知識を持たず、神的な存在とは根本的に異なる存在である。
アッラーを信じる者の基本的な特徴として、見えないもの、すなわち不可視の存在への信仰が上げられる。天使への信仰はその一部である。
天使を信仰する者の心は、幸福で満たされる。ゆりかごから墓場まで常に人間に寄り添い、アッラーの導きによって人間を守護する、その善なる存在を感じ取るためだ。人間を善へと導き、人間に寄り添いながら悪から守り、その幸福のために祈り続ける天使のために、天使を信仰する者は、人生において決して希望を忘れることがないのである。
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