預言者 ムハンマド (彼の上に平安あれ) パンフレット


内容

このパンフレットでは、唯一神アッラーが人類に遣わした最後の預言者であるムハンマドについて解説しています。ムハンマド様の預言者となる以前と、最初の啓示を受け預言者になった後の生涯がまとめられています。またムハンマド様の徳行と、彼が当時のアラビア半島社会をいかに立て直したかについても解説されています。

預言者ムハンマド (彼の上に平安あれ)

ムハンマドとは?
 西暦571年、預言者アブラハムの息子イシュマエルの流れをくむ高貴な一族に、ひとりの男の子が誕生しました。その子は「称賛される者」を意味するムハンマドという名を与えられました。幼い頃に孤児となった経験から、自分同様の孤児たちや貧しい人々の置かれた苦境をよくわかっていました。ムハンマドは善良な性格の若者に成長しました。全能の神は、「ジャーヒリーヤ(無知の時代)」と呼ばれる当時のアラブにまん延していた飲酒や淫行、強奪といった風潮の悪から彼を守りました。彼に自分の大切なものを預けた人々は、彼をアル・アミーンと呼びました。それは「信頼に足る者」を意味します。イスラムが確立する以前から、ムハンマドは、彼の社会が抱える問題に関心を持ち、異国からの交易商人に対する取引上の不正を防ぐなど、社会に美徳が広まることを求めていました。
預言者として
 40歳のとき、彼はアッラーから大天使ガブリエルによって届けられた最初の啓示を受け取りました。啓示された最初のメッセージとは、「読みなさい(注:あるいは、「詠みなさい」とも)、あなたの主である創造者の名において」でした。このようにイスラムは、その始まりにおいてすでに知識の獲得と普及に重きを置いていたのです。そしてこの生き方を教えるために、ムハンマドが遣わされたのでした。
 その後23年間にわたり、彼は啓示を受け取り続けました。アッラーにより「クルアーン」と名付けられたこのメッセージは、すべての人類に向けられています。メッセージの基本にあるのは、創造者であるアッラーの唯一性、天使たち、預言者たち、諸啓典、審判の日、あまねく被造物に対して定められたアッラーの定命を信じることです。
 預言者としての最初の13年間、彼は人々に対し、偶像崇拝を放棄するよう呼びかけ、唯一の神を信仰する共同体の一員となるよう招きました。最初の信仰者は、預言者の妻であり、ムスリムの「母」として尊敬を集めるハディージャでした。彼がこのメッセージを伝えると、不幸にもメッカの住民たちは、それを彼らの生き方や偶像崇拝に対する脅威であるとみなしました。彼が弱者の権利を訴えたとき、それは強者を激怒させることになりました。しかしそれは、彼が弱者や抑圧された者の擁護者となったことを意味しました。
 彼にメッセージを放棄させるために、賄賂、拷問、追放といったあらゆる種類の策略が実行されました。しかしそうした弾圧にもかかわらず、彼と信仰を共にした者たちは、誰ひとりとしてイスラムを放棄することはありませんでした。西暦622年、ムハンマドは、メッカの北に位置するメディナに移住するよう神から命じられました。これは非常に重要な出来事であり、イスラム暦はこの移住(ヒジュラ)をもって元年としています。ムスリムたちはメディナに、まとまりのある社会を築きました。あらゆる宗教や部族、人種を背景とした多くの人々がイスラムの教えを受け入れ、あらゆる地域の人々が預言者の卓越した性格とそのやさしさの影響を受けることになりました。
 ヒジュラから10年後、預言者ムハンマドは10,000の軍勢を率いてメッカに帰還しました。流血も、復讐がなされることもありませんでした。彼は非常に礼儀正しく、駱駝に騎乗しながらお辞儀をしつつメッカに入ったため、その額はほとんど駱駝の首にふれるほどであったと伝えられています。市街に入ると、彼はその住民たちにこう語りかけました。「預言者ヨセフが兄弟たちに告げたことを、今日あなたがたに告げましょう。『今日、あなたがたに咎めはない。アッラーがあなたがたを赦したまいますように。あなたがたは、自由の身』と」。
 翌年、巡礼の季節が訪れると、彼は別れの説教をし、その中でこう語りました。
「私たちは今、無知の時代の法に背を向ける。今後は、利子に関わるあらゆる行いを捨て去らねばならない。必要なのは公正さであり、いかなる不公正もあってはならない。黒い者も白い者も、富める者も貧しい者も、アラブも非アラブも、すべての人は平等である。私たちを互いに区別するものがあるとすれば、それはただ信仰の深さによってのみ。偶像に対する崇拝はもはや存在しない。……」
 このとき、以下の聖句が啓示されました。「この日、われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成し、あなたがたへのわれの恩情をまっとうし、あなたがたのための宗教としてイスラムを選んだ。……」(クルアーン5章3節)
 632年、預言者ムハンマドはこの世を去り、その亡骸は現在のサウジアラビアに埋葬されました。

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